号外/個展の記憶とこれから
こんにちは、こんばんは。柊です。
5月19日から始まった東京での個展が、無事に24日終わりました。今日はそのことについてすこしだけ。
個展期間の前後はいろいろな出来事もありますし、気持ちにも大きく波があるので、このニュースレターもイレギュラーな感じですみません。旅の物語はまた近いうちにお送りできればと思っています。
さて、やっと個展について言葉を書く気力がわいてきました。気持ちが熱々のうちはなんとなく言葉も散漫になってしまうので、いまぐらいほどよくあたたかい心で、いまも、これからも、書いていけたらいいなあと思っています。
まず、個展へお越しくださったみなさま、ありがとうございました。来られなくても興味を持って見てくださっていたみなさまにも感謝しています。
今回の個展はひさしぶりに東京の真ん中での個展ということもあって、ほんとうにたくさんのお客さまがいらっしゃいました。10代の学生の方から、わたしよりもずっと歳上の方まで、年齢や性別を超えてお会いし、お話しすることができてとてもうれしかったです。
今回の個展では、展示した連作ものの白い馬と白い鳥(と、その化身たち)の作品群と、Gペンで描いたドローイング(with blueシリーズ)、そしてサイノリウムを参照しながら描いた青い作品群(in blueシリーズ)、木製パネルにデザイン的に描いた作品、名前がつく前のいのちの形を作った粘土の作品、海辺の手紙の特別版、作品世界を反映させて作っていただいたハーブティー、仕事で作ったプロダクトなど、さまざまなものを並べました。
今回の個展ではさまざまなアプローチの作品を並べたのですが、表面上はばらばらでもその根幹にはひとつのテーマがあり、ゆるやかに全体が繋がっているような場所にしたいと思っていました。そして、それらはこれからさらに発展していく種のようなものであってほしいと。
「これから」のなかにあるわくわくと、どう育っていくのだろうという漠然とした不安感。生まれてきた作品を眺めながら、わたし自身もどこか不思議な気持ちで過ごしていました。
個展を通して得たこと、考えたことは、追って形になるのを待ちたいと思うのですが、在廊中につよく感じたのは作品を受け取った方がその手のひらの上でわたしの作った作品に新しくいのちを吹き込んでいる、ということです。
日々、自分が作るものの価値を信じて何かを作ってはいますが、それがひとたび手のなかから飛び立ったあと、そのゆくえはわかりません。あの子元気でいるかなあとときどき考えてはまた新しい何かに向き合っていくような、それはどこか誰かへの祈りのあり方と似ているような気がします。
手のなかから飛び立ち、新しい住処で新しい家族を作って暮らす小鳥。個展の在廊中はその小鳥たちが会場へ会いにきてくれたようなうれしさや驚きがあったのでした。
大切だからといって手元にとどめておくことはできない。けれど手放したらいつかどこかでふたたび会うことができる。そう考えるとまるで、最近見返した「リズと青い鳥」のようだなと思います。
また来年東京で、雨の季節にお会いできればと思います。ほんとうにありがとうございました。
///
この「海辺の手紙」は登録してくださった方のもとに届く手紙です。Web上にはアーカイブが残してありますので、以前の手紙もご覧になることができます。
すでに登録済みの方は こちら